yuuの恋愛工学実践日記

恋愛工学生のyuuがナンパや恋愛について綴っていきます。

【ペアーズでの出会い】感じられない脈ありサイン

   

某日夜、僕は渋谷にいた。この日はペアーズで知り合った女の子、エリとのアポだったのだ。

ペアーズというのは、出会い系サイト・アプリのことだ。ペアーズのアカウントを作るのにはFacebookアカウントが必須で、故に身元がしっかりしているから安心感があり透明性も高いと謳っている。実際に、今までの出会い系サイトと違ってアングラ感はほとんど感じられない。サイトやアプリの作りは若い女子に支持される様なカジュアルなデザインになっており、インターフェイスも分かりやすい。現在、男女双方に最も支持されている出会い系サイトだと思う。

エリとはマッチング後、数回のメッセージのやりとりをしてすぐにLINEに移行し、すんなりと今回のアポに繋がった。彼女のいいね数は400くらい。プロフィールの写真を見る感じだと、ルックスレベルはB+といったところか。

ペアーズに初めてログインして検索画面を開いた時、画面の向こう側にいる数多の綺麗な女の子がみんなこちらに向かってカメラ目線で笑顔を振りまいていた。僕は彼女たちの写真を見て、「可愛い子が多すぎてヤバイな!」と思った。「やっぱり女の子は最強のコンテンツだな」、そう感じていた。気分は完全に高揚していて、速攻課金して色々な女子に「いいね」を押してマッチングもしてメッセージをしていた。

でもその後、何人かペアーズ経由で実際に会ってみて現実を知った。実物と写真が全然違うのだ。少し違うかなという子もいれば、全然違う、と言うか、別人じゃん!と感じる子もいた。ペアーズの画面上で微笑んでいたあの子は誰だったんだ……そう思ったのは一度や二度じゃない。

出会い系をやったことがある人は分かると思うのだけれど、彼女たちがサイト上にアップしている写真は本当に当てにならない。ベストアングルで、かつ、写真加工アプリを巧みに使用し、肌質、目の大きさ、輪郭を修正して、みんなとにかく可愛くなっている。出会い系のサイト上にアップロードされているのはそんな奇跡の写真たちなのだ。

実際に会うとしたら写真上の美麗なんて意味無いのに、「写真上でも少しでも可愛く写りたい」そう考えている彼女たちの思惑と現実を知ったから、今回も特にあまり期待せずに待ち合わせ場所でエリを待っていた。そして約束の時間が訪れた。彼女からLINEが来た。

「約束場所に着いたよ。白のコート着てる」

僕は辺りを見渡した。僕のいる場所から少し先に白いコートを着た女の子が立っている。恐らく彼女が待ち合わせの相手だ。歩いて声をかける。

「こんばんは! 初めまして(^^) エリちゃんだよね?」

「こんばんは~。はい、エリです」

意外だった。エリは写真と実物のルックスの乖離がほとんど無かった。と言うか、写真より可愛い。僕はテンションが上がった。

「予約してるお店、こっちなんだ。行こう(^^)」

「はい」

こうして僕とエリは予約していたお店に向かった。お店に着いて乾杯。僕はいつもの元気なテンションで色々と話をしてみる。僕はテンションが高いのだけが取り柄だ。軽くヒアリングした結果、職業は保育士。たまに暇な日は副業でイベントコンパニオンをやっている。彼氏は一年ほどいないらしい。

そして色々話をしてみるけど、なんだか全然感触を得られない。まず、目を合わせてくれない。伏し目がちだ。僕との会話に対しても、「うん」とか「そう」とかの生返事しか返ってこない。喋り声もボソボソで時たま何を話しているのか聞こえない。僕に対する質問もあまり無い。いわゆる、脈ありサインが一切感じられない。男は女子と対峙する際、様々なトークやアクションを通して自分への好意の有無を判断しているけど、この子は全く何も感じられなかった。

色々な女子と出会って会話をすると、なんとなく女子全体の平均値が分かってくる。こう言えばこう返ってくるとか、これをやったらこれが返ってくるとか。女子との接触回数が多ければ多いほど、平均値の輪郭がおぼろげながら分かってきて、いけるかいけないかの判別がつきやすくなる。そういう観点で見ると、彼女の反応は完全に平均値から外れていた。十分すぎるほど脈なしと判断される方向に振り切っていた。

会って一時間ちょっと。苦し紛れの会話を何とか繋げながらも、「これ、ダメじゃね?」僕は何度もそう思った。完全に戦闘不能一歩手前の状態で、すぐにでもお開きになりそうな雰囲気なんだけど、でも彼女はそこそこ可愛い。もう少し頑張りたい……どうするべきか? ダメ元で僕は二軒目を誘ってみた。

「まだ時間あるでしょ? 二軒目行こうよ(^^)」

「いいよ。付き合うよ(^^)」

「え? 完全に脈なしだと思ったんだけど来てくれるんだ!」。そう思って、ちょっとびっくりしながらも、冷静を装ってそのまま適当に近くにあった二軒目のお店に入った。そして再び乾杯した。彼女は酔っ払ってきたらしく、少し饒舌になってきた。相変わらず目を合わせてくれないし、脈ありサインも全く出ていなかったけど、少しずつ色々と話してくれる様になった。掴みどころがなく釈然としないけれど、僕は少し嬉しくなった。

話を聞くと、実はお酒はあまり強くないらしい。僕は彼女がお酒を飲むことを止めた。女子にとにかくお酒を飲ませて酩酊させてワンチャンスを狙う男がいるけど、そんなの完全にダメだ。男は酒じゃなくて自分に酔わせなければダメなんだよ。

「いやいや、もうこれ以上飲んだらダメだから。おこちゃまは酒飲んじゃダメだから」

「大丈夫だよ。全然いけるよ」

「いや、フワついてるからダメ。チェイサー頼むわ」

チェイサーを頼んで彼女を落ち着かせてまた色々話をした。でも、やっぱり全然いける雰囲気にはなっていなかった。そして気付いたら僕は一人でワイン一本開けていた。一軒目と合わせると大分お酒を飲んでいる。酔っ払ってきて眠くなってきた。もう頭がフワフワしていて、もはや戦術も何も無くなっていた僕は半ばヤケクソで彼女にこう言った。

「俺、大分酔っ払ってヤバい。エリちゃんの家に泊めてよ」

雰囲気も何もできていない状況での相手家打診だ。これまでの流れの中で、キスはもちろんボディタッチなどのセクシャルな行動は何もしていない。普通なら弾かれる。しかし、彼女はこう答えた。

「え? マジで? ん~分かった」

僕はびっくりした。二人きりになる際は、男宅→ホテル→女子宅と、通常はハードルが上がっていくものだけど、最難度である女子宅への打診があっさり通ったのだ。しかも、全く脈ありサインが出ていない状態にもかかわらず。

僕は彼女の気が変わらないうちに素早く行動するべしと判断して、速攻で会計をしてお店を後にしてタクシーに乗り込んで彼女の家に向かった。そして、家に着くなり、なし崩し的にベッドに入ってそのまま彼女を抱いた――――――――――――――――

でも彼女を抱いている際、僕は全く高揚しなかった。彼女も同様のことを感じていたと思う。出会いからベッドインまでの流れの中で、彼女は僕に対して全く好意を表していなかった。そして、セックスも機械的に行われ、実に淡々としたものだった。彼女は行為中、僕ではなくどこか空を見ていた。

体は繋がったかもしれないけど、心は全く繋がっていなかったのだ。セックスはそこに至るまでの過程や最中は、流れや雰囲気がとても大事だと思う。それが例えお互い演技だとしても。ワンナイトだったとしても。これらを排除したセックスはただの動物的な生殖活動なだけであって、本当に味気ない。

僕たち人間は地球上で豊かな感情を持った唯一無二の生物だ。他の動物と違って、恋愛やセックスを甘美で情緒的に紡ぐことが出来る。これは僕たち人間に許された贅沢だ。過去にも心が通わない無味乾燥なセックスをしたことはあったけど、その行為には何の意味も見いだせなかった。やっぱり僕は女子の体を抱くのだけではなくて心も抱きたいのだな、と改めて認識した。

翌朝になって、僕も彼女も無言のままお互いシャワーを浴びて、これから始まる仕事のために服を着て支度を始めた。空気が重苦しかった。僕は気を紛らすために少し会話を試みたけど、彼女は相変わらず「うん」とか「そう」とか、そっけない返答しかしてくれなかった。そして出勤する時間になったので彼女宅を出て、駅前で別れた。

「私、職場こっちだから。じゃあね」

「うん、分かった。仕事がんばってね」

脈ありサインは全く出ていなかった。ノリでもなかった。彼女は僕にどうして抱かれたのだろう? いくら考えてもさっぱり分からなかった。そんなモヤモヤした感情を抱いた僕を置いて、彼女は朝もやの中に消えていった。こちらを一度も振り返ることなく。

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